弁護士の七つ道具について

弁護士 畑 裕士

 

特に何かに役に立つ情報ではないですが、弁護士の七つ道具、広義では「ひとそろいにして携行する身の回りの小道具、または、ある仕事に必要な道具類」(新明解 国語辞典)を指すようですが、自分は道具に拘るタイプなので、これらについて述べたいと思います。なお、七つ道具は仕事のやり方によって、弁護士毎に様々だと思われます。

 

1 弁護士記章

まずは、弁護士記章(バッジ)です。

これは、日弁連の会則に規定があって、「弁護士は、その職務を行う場合には、本会の制定した記章を携帯しなければならない。ただし、本会の発行した身分証明書の携帯をもってこれに代えることができる。」と定められております。

よって、職務中は、基本的にバッジか身分証明書を携帯しなければなりません。

ちなみに、バッジは全ての会員が持っていますが、身分証明書は特に請求しない限り発行されることはないので持っていない弁護士も多数いると思われます。

私も身分証明書は持っていません。また、弁護士バッジも普段からスーツや衣服に実際に「着用」している人は実はあまり多くなく、財布等に入れて携帯している弁護士が多いと思います。なお、弁護士バッジを見せることで、裁判所に入館する際や、警察署や拘置所で被告人等と面会する際に、スムーズに入館、面会できるというメリットがあります。

相談中の弁護士が弁護士バッジを付けていなかったとしても、おかしいことではないので怪しまないで下さい。もし本物のバッジを見たければ、快く見せてくれると思います。

 

2 職印

次に、職印。

弁護士になったときに「弁護士○○之印」という印鑑を作ります。

サイズ、形、素材等に決まりはなく、私の回りだと角型と丸型で大体半々くらいの印象ですが、大体、事務所に備え置く用と持ち歩き用で複数持っている場合が多いと思います。

私は、一辺15ミリ程度の小ぶりの角印を複数使用していますが、事務所の後輩弁護士は、登録したての頃に玉璽のように巨大な角印を作ってしまって、ボスと連名で事件をやるときに困っていました。なので、ほどほどの大きさにとどめるのが望ましいと思っています。これから弁護士になる方は是非ご参考に。

 

3 手帳

3つ目は、手帳。

手帳は、日々のスケジュール管理のためとても重要です。ただし、今はスマートフォンやiPadなどで代用できますし、わざわざ紙の手帳を使用していない弁護士も多いと思います。

私は、手帳カバー自体の質感や実際にペンを使って書き込むほうが性に合っているので、今も紙の手帳を利用しています。弁護士協同組合から支給される弁護士向けの手帳もありますが、私はそれ以外の手帳も色々試しており、今は、インクブルーのフレンチカーフの手帳カバーと、中身は月曜日から日曜日までの1週間、朝7時から夜23時まで予定が記入できるタイプの手帳を使っています。

 

4 ボールペン

4つ目は、ボールペンです。

3つ目に挙げた手帳とセットみたいなものですが、これまで色々試した結果、ペリカンのスーベレーン800のバーントオレンジと、クロスのクラシックセンチュリーなどを使い分けています。

 

5 携帯電話(スマートフォン)

5つ目、携帯電話(スマートフォン)。

電話やメールなどの本来の利用方法以外に、事件の現場までのナビ、現場での写真撮影や録画、録音などで使用することが多いです。私はアナログなので機能を十分に使いこなせていないのですが、困ったときは事務所の電子機器オタクの後輩弁護士から教えを請うています。

 

6 iPad

6つ目、iPad。

iPadは、常に手放せません。風呂に入るときにも持ち込んでいます。

スマートフォンのサイズでは書籍や記録はサイズ的に読みにくいですが、iPadなら大量の書籍や記録、六法も含めて1台で済みます。以前は、ノートパソコンを持ち歩いていたりしていましたが、今のところパソコンはデスクトップしか使っていません。

 

7 7つ目は・・・

7つ目。最後に挙げるとなると中々迷うところです。

名刺、付箋、蛍光ペンなど色々ありますが、自分の趣味嗜好からいうと腕時計です。

腕時計は、あの僅かなスペースに一つ一つのディテールが異なることによって全く異なる印象になるところにとても魅力を感じていて、クオーツ式の比較的手に入れやすいものから機械式の比較的高価なものまで、それなりの本数を所有しています。

たまに相談者や依頼者の方との雑談の中で時計の話で盛り上がることもあるので、自分の中では自己満足に加えてコミュニケーションツールになっている部分もあります。

 

以上、思いつくままに長々と七つ道具を挙げてみましたが、書いてみて弁護士記章(バッジ)と職印以外、それほど職業的な特徴はないのかなと思いました。

 

畑 裕士弁護士

川崎ひかり法律事務所

〒210-0005

川崎市川崎区東田町8
パレール三井ビルディング11階1101

 

注:本コラムの内容は、掲載当時の執筆者の知見に基づくものです。その内容について、神奈川県弁護士会川崎支部は一切の責任を負いません。

また,執筆者の登録情報も掲載当時のものです。

一覧に戻る