養育費ってどれくらい貰えるの?~養育費について~

弁護士 中瀬奈都子

 

離婚を検討されているとき、一番に頭に浮かぶのはお金の問題ではないでしょうか。特にお子さんをお持ちの方は、養育費をいくらもらえるのかが心配だと思います。

 

■「養育費」とは?

養育費とは、未成熟の子どもが生活するために必要な費用です。
離婚する際、未成年の子どもがいる場合、親権者をどちらかに決めなければなりません。
親権者にならなかった親も、子どもの親である以上は、扶養義務があり(民法877条1項)、養育費を分担する義務があります。
その義務の内容は、子どもが最低限の生活ができるための扶養義務ではなく、自分の生活を保持するのと同じ程度の生活を保持させる義務(生活保持義務)です。
子どもは親に対して直接、扶養義務の履行として養育費を請求することができますが、通常は、子どもの親権者が他方の親に対して、養育費の支払いを求めます。

 

■それでは、離婚後、親権者になって子育てをするとして、相手方にどれくらい「養育費」を支払ってもらえるでしょうか。

いくらにするかは、夫婦で自由に決められます。
まずは、夫婦間で話し合いをし、話し合いで決まらなければ、調停手続の中で、金額や支払方法を話し合うことになります。

通常は、離婚条件を決めるにあたって養育費についても話し合うため、離婚調停を申し立てて、その中で話し合うことが多いでしょう。

(もちろん、養育費を決めずに離婚をして、後で養育費分担の調停を申し立てることもできます)。
もし、調停でも決着がつかないときは、離婚訴訟の中で(あるいは養育費分担の審判手続の中で)、裁判官に決めてもらうことになります。
調停、審判、訴訟といった裁判所の手続きを利用する場合、養育費は、裁判官が共同研究して作成した「養育費・婚姻費用算定表」をもとにして、計算することになります。
そのため、夫婦間で話し合う際にも、合意に至らず裁判所の手続きにうつることを想定して、「算定表」をもとに決めることが多いです。

 

2019年12月23日に新しい「養育費・婚姻費用算定表」が公表されました。
新しい「算定表」はこちら!

 

「算定表」の見方は、まず子どもの人数と年齢に合った表を選び、義務者(支払う側の配偶者)の年収欄と権利者(支払われる側の配偶者)の年収欄が交差する点を確認します。

そこに書いてある金額が、標準的な養育費の額です。

なお、年収については、給与所得者の場合、源泉徴収票の「支払金額」(控除されていない金額)を見ることになります。

事例で見ていきましょう。

例えば、会社員の夫(年収450万円)、パートの妻(年収100万円)に、6歳のお子さんがいて、離婚後、妻が親権者として子育てする場合、表1を見ます。

縦軸(「義務者の年収/万円」と記載されている軸)の左側の数字で「450」のところから右方向に線をのばします。横軸(「権利者の年収/万円」と記載されている軸)の下側の数字で「100」のところから上に線をのばします。この二つの線が交差する、「4~6万円」が、義務者が負担すべき養育費の標準的な月額を示しています。

 

■いつまで支払ってもらうか

婚姻費用と違って、養育費の場合、支払いの終期を決める必要があります(婚姻費用の  場合はその概念からおのずと、終期は「別居又は婚姻関係を解消する時」と決まります)。
養育費分担義務の対象である子どもとは、自己の資産または労力で生活できる能力のない者(未成熟子)とされています。
一般的には、20歳になって、働く能力があれば未成熟子とは言えませんが、心身の障害によって働けない場合は20歳に達していても未成熟子と言えますし、夫婦の収入や学歴、社会的地位から子どもが大学に進学してしかるべき場合は大学生も未成熟子と言えます。
夫婦双方が大学を卒業しており、離婚時の子どもの年齢からして進路がある程度明確になっているケースの場合には、大学に進学することを前提に終期を決めることも多いです。
その場合、「子どもが大学を卒業するまで」という決め方ですと、浪人や留年等によって卒業する年がのび、終期をめぐる争いが生じかねません。また、不特定な文言にすると、強制執行する際に問題になり、強制執行できないということもありえます。そのため、「22歳に達した後に到来する3月末日まで」などと明確に決めておくことをおすすめします。
子どもの心身の状況や就学状況はまちまちです。その子に応じた終期を決めることをおすすめします。終期をどう決めるかや、後に争いにならない文言の定め方は、お子さんのことだからこそ、とても重要です。

 

■養育費を支払ってもらえない!とならないように出来ること

法務省の検討会議が、2020年にまとめた報告書では、母子世帯が離婚した父親から養育費を受け取っている割合は、なんと24%とされています。「せっかく決めた養育費を支払ってもらえない!」なんてことにならないように、対策をとっておくことも大切です。
調停や裁判といった裁判手続で決まった場合には、裁判所が作った調停調書や和解調書、判決書をもって、強制執行することができます。つまり、支払義務者の預貯金や給料などを差し押さえて、そこから直接回収するということができます。
では、裁判所の手続を使わず、話し合いで決めた場合はどうでしょう。
単なる「合意書」では、不払いが生じたときに直ちに強制執行することはできません。さらに裁判手続を経る必要があります。そこで、話し合いで決める場合には、その合意内容を、「強制執行認諾文言」を入れた公正証書にすることをおすすめします。
公正証書は公証役場の公証人が作成する公的な契約書です。最大のメリットは、「強制執行認諾文言」を入れておけば、調停調書や和解調書、判決書と同じく、直ちに給与の差押え等の強制執行ができるという点です。
公正証書を作成する際には、公証人に対し、作成費用を支払うことになります。公証人手数料は公正証書に載せる条件(養育費、財産分与、慰謝料など)の金額によって計算される仕組みになっています。

公正証書を作る際に、きちんと、強制執行が可能な文言にしておくこともお忘れなく。文案の作成と公証人とのやりとりを弁護士にご依頼いただくことも可能です。

 

 川崎法律相談センターでは、月曜午後、水曜午前、金曜午前および日曜・祝日午前に「家庭の法律相談」という相談枠を設定しております。ご家庭の問題で悩みを抱えたときには、ぜひお気軽にご相談にいらしてください。

 

中瀬 奈都子弁護士

川崎合同法律事務所

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