ボードゲームで法律問題を学びましょう!

弁護士 畑 福生

 

弁護士の畑福生です。私の趣味はボードゲームです。ボードゲームは、カードやサイコロ、駒を使って、駆け引きを楽しんだり、戦略を試したりすることが魅力です。

そんなボードゲームの中には法律問題がテーマのものもあります。

とっつきにくい法律問題も、ボードゲームで身近に感じれば理解しやすくなるのではないかと思っています。

 

こんなことを考えていたところ、この度ご縁あって、川崎若者就労・生活自立支援センター「ブリュッケ」にて、法律がテーマのボードゲーム会を開催させていただきました。

ボードゲームを遊びながら、刑事、離婚、相続といった法律問題についての解説を行いました。

 

こんな素敵なポスターも作っていただきました。

 

 

以下遊んだボードゲームをテーマごとに紹介します。

 

≪刑事事件がテーマのゲーム≫

刑事事件は、簡単に言えば、罪を犯してしまった方の適正な刑罰が何かを考えるものです。

刑罰は、国が、個人を閉じ込めたり、お金を奪ったり、一番重い場合は命をも奪うもので、個人の権利の制約を伴うものです。

そのため、刑罰は慎重に、行き過ぎないように適用されなくてはならないと考えられています。

 

刑事事件については、①「刑法ポーカー」(考案:そらいと、発行:つきのふね)と②「ミクロマクロ:クライムシティ フルハウス」(デザインSystem:Johannes Sich、Art:Daniel Goll・出版:Spielwiese・販売:ホビージャパン・発売:2021年11月)というゲームを遊びました。

 

①「刑法ポーカー」は、構成要件という犯罪が成立するための要件が書かれたカードを揃えて、出来るだけ刑罰の重い罪を作ろうというものです。解説として、上記のとおり慎重に刑罰が用いられなくてはならないことの一端として、構成要件を充たさなければ犯罪は成立しないということをお話ししました。

 

 

 

 

②「ミクロマクロ:クライムシティ フルハウス」は、机いっぱいに広がるほどの大きな紙に様々な犯罪に関連する場面が書かれていて、その中からお題(例えば、宝石を盗んだ犯人はどこ?、犯人たちはどこで作戦を練った?、どこで誰に宝石を売った?といったもの)に沿った内容の場面を探し出す協力ゲームです。

お題の中には共犯に関するものもあることから、解説の中では犯罪の実行犯じゃない人も同じように処罰されるの?といった話を特殊詐欺の受け子等の問題とも絡めながらお話しました。

 

 

 

≪離婚事件がテーマのゲーム≫

離婚は、当事者の話し合いでの協議離婚と裁判所を絡めた調停離婚、裁判離婚などがありますが、話し合いでまとまらない場合、離婚事由があるか否かが問題となります。

 

その他離婚に関しては親権や面会交流、養育費、財産分与等々考えることも多いですが、離婚事由に関係するものとして③「離婚届けにサインしてッ!!」(ゲーム設計:ひろかわなみ・アートワーク:ひろかわなみ・イラスト:はるのイロ・制作:つながらぼひとりとひとり・2019年)を遊びました。

 

このゲームは、離婚に際してどのような証拠が必要となるのかをゲーム形式で学べるもので、麻雀のように証拠カード(異性と親密なやり取りをしているメール画面など)を捨てたり、山札から証拠カードを集めたりして、役(不貞や暴力など)を揃えていち早くあがりを目指すというものです。

ちなみにこのゲームについては私が法律監修をさせていただいております(詳しくはこちらにも記載されています。 https://www.kanaben.or.jp/profile/column/2020/02/post-184.html )

 

 

 

≪相続事件がテーマのゲーム≫

人が亡くなり相続が発生し、どのように遺産を分けるかが問題となり得ますが、相続人同士で話がまとまらない場合は、裁判所を絡めて調停・審判等を申し立てることとなりますが、その際には法定相続分を基礎として分割内容が決められます。

 

そんな相続事件をテーマにしたゲームとして④「愛人に私の財産の半分を遺贈する」(ゲームデザイン:わん・アートワーク:イチガキ・出版:WILDCARDS、2022年)を遊びました。

 

このゲームは各プレイヤーが配偶者や子、親、きょうだい、愛人などの身分になって、時には相続放棄をしたり、時には相続排除の遺言を見つけたり、親子関係不存在を主張したりしながら、債務を引き取らないようにしつつ、多くの財産を得ようとするものです。最終的には法定相続分で財産を分かち合います。

相続に関する難しい法律用語や法定相続分の計算も自然と身につくゲームとなっています。

 

 

 

 

今回は以上のゲームで法律問題を学びましたが、その他にも憲法問題がテーマのゲームや労働問題がテーマのゲームもあり、ボードゲームを通じて学習をしてもらう取り組みをもっと広められたらと思いました。

弁護士は、様々な法律問題に関する学習会を企画・講師派遣を行っておりますが、このようなゲームを用いた学習会も行うことができます。

 

みなさんもボードゲームを使って楽しく法律問題を学びましょう!

 

畑 福生弁護士

川崎合同法律事務所

〒210-8544

川崎市川崎区砂子1-10-2
ソシオ砂子ビル7階

 

注:本コラムの内容は、掲載当時の執筆者の知見に基づくものです。その内容について、神奈川県弁護士会川崎支部は一切の責任を負いません。

また、執筆者の登録情報も掲載当時のものです。

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